コロナの影響で一時は閉館していた市内の図書館も開き、本が借りられるようになりました。新しい本が読みたい子ども達から、「あの本借りて」「このシリーズ読みたい」とリクエストが。
我が家は、「子ども達からリクエストされた本」にプラスして「親の希望で読んでほしい本」を織り交ぜて借りるようにしています。
今回は、子どもの教養となるのでは?と期待して借りた「声にだすことばえほん」シリーズの中から3冊紹介します^^
1.「声にだすことばえほん」シリーズとは
こちらは、齋藤孝さんと人気の絵本作家の方達で作られたことば絵本となります。
齋藤孝さんと言えば『声に出して読みたい日本語』(草思社)が大ベストセラーになった明治大学の教授であり、NHK Eテレの「にほんごであそぼ」総合指導もされている方ですね。
ほるぷ出版から発売されているこのシリーズは全部で17冊あり、初版は今から17年まえの2003年です。本体価格は1200円(+消費税)で大きさは縦横約20センチとなります。
絵本の内容は、付け足し言葉、落語、早口言葉、物売り口上、四字熟語、ことわざなど日本語のリズムが楽しめるもの。「祇園精舎の鐘の声」という冒頭部分が有名な「平家物語」や「春はあけぼの」からはじまる「枕草子」、さらに「おくのほそ道」の俳句など古典作品を絵本にしたもの。夏目漱石、太宰治、島崎藤村、中原中也、草野心平などの小説家や詩人たちの作品が絵本になっています。
2.全タイトル一覧(出版年順)
発売されている全タイトルは以下のようになっています。
「おっと合点承知之助」 作:齋藤 孝 絵:つちだ のぶこ
「えんにち奇想天外」 作:齋藤 孝 絵:つちだ のぶこ
「知らざあ言って聞かせやしょう」文:河竹 黙阿弥 編:齋藤 孝 絵:飯野 和好
「寿限無」 作:齋藤 孝 絵:工藤 ノリコ
「がまの油」 作:齋藤 孝 絵:長谷川 義史
「春はあけぼの」 文:清少納言 絵:たんじあきこ 編:齋藤 孝
「吾輩は猫である」 文:夏目 漱石 編:齋藤 孝 絵:武田 美穂
「馬の耳に念仏」 絵:はた こうしろう 編:齋藤 孝
「生麦生米生卵」 作:長谷川 義史 編:齋藤 孝
「ごびらっふの独白」 詩:草野 心平 編:齋藤 孝 絵:いちかわ なつこ
「祇園精舎」 編:齋藤 孝 絵:山本 孝
「ゆく河の流れは絶えずして」 文:鴨長明 絵:軽部武宏 編:斎藤 孝
「おくのほそ道」 文:松尾 芭蕉 絵:中谷 靖彦 編:斎藤 孝
「サーカス」 文:中原 中也 絵:にしむら あつこ 編:斎藤 孝
「走れメロス」 文:太宰 治 絵:竹内 通雅 編:齋藤 孝
「外郎売」 編:齋藤 孝 絵:長野 ヒデ子
「初恋」 詩:島崎 藤村 編:齋藤 孝 絵:かわかみ たかこ
3.今回紹介する3冊
①「寿限無」
この本は「じゅげむじゅげむ~」という長い名前のついた男の子とご両親、そして金ちゃんが登場する絵本です。NHK Eテレの「にほんごであそぼ」を見た方は、その番組の中で「寿限無」を聞いたことがあるのではないでしょうか?
この「寿限無」のお話、もともとは落語の前座噺なんですね。どうりで言葉のテンポが良い訳です。落語なので、しっかりオチもついています。長い名前を言い終わるころは、名前が長すぎて、たんこぶが引っ込んでしまうというクスっと笑えるオチですね。
絵本のイラストは「ノラネコ軍団」シリーズでお馴染みの絵本作家、漫画家である工藤ノリコさんが描いています。柔らかいタッチで、イラストから優しく面白い雰囲気が伝わってきます。男の子の長い名前も、22ページにわたって、リズムの良いところで区切られながら書かれています。読みながらページをめくる楽しさもありましたよ。
我が家では、選んで読んだ最初の3冊の中で一番人気がありました。
気が付くと、子ども達は毎日のように読んでいました。そのうちに、「じゅげむ、じゅげむ~」と男の子の名前の部分を暗記して、毎日唱えていましたよ。まるで日本語の呪文のようでした(笑)
どんな子どもも、一度はハマってしまうのではないか?そんな風に思わせてくれることば絵本です。
②「生麦生米生卵」
この本は、本の名前からも解る通り早口言葉のことば絵本です。
お姉ちゃんの結婚の日、という設定でイラストにはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、サザエさん一家のような、カツオくんカット(坊主頭)の男の子とワカメちゃんのような女の子が描かれています。
結婚するお姉ちゃんは自宅で和装の花嫁衣装に着替え、両親の前で手をついているので、昭和初期の日本を想定しているのでしょうか。
こちらのイラストは「いいからいいから」のシリーズが人気の元グラフィックデザイナーでありイラストレーター、絵本作家の長谷川義史さん。イラストを見るだけでも、昔の結婚式はこんな感じだったんだな、としっかり伝わってきます。
絵本の中には、場面に合わせた15個の早口言葉が書かれています。一番最後のページは「親鴨の~」から始まるかなり長い早口言葉で、間違えず早口で言い切るのは大人でも至難の業(笑)。15個もあるので、お気に入りを見つけて子どもと言い合いっこのゲームが出来ますよ!
③「ゆく河の流れは絶えずして」
こちらは鎌倉時代に鴨長明によって作られた「方上記」の冒頭部分が絵本になっています。方上記といえば「無常観」ですね。この「方上記=無常観」という言葉の組み合わせ、国語のテストの為に覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
絵本のなかの言葉は、現代の言葉使いとは異なる古語で書かれているのですが、イラストのおかげで大変イメージしやすくなっています。印刷されている文字の大きさも、一文字の四方が1センチメートルほどとやや大きめに印刷されています。漢字についている平仮名はやや小さいものの、とても読みやすいです。
絵本のイラストは日本グラフィック展浅葉克巳賞受賞、岡本太郎記念現代芸術大賞展入選、Pinpoint Picture Books Competition優秀賞受賞など多くの受賞歴がある画家で絵本作家の軽部武宏さん。日本絵本賞及び読者賞を受賞した「のっぺらぼう」というおばけ絵本のイラストも描かれています。
絵のタッチが強めで、子どもにはイメージが難しい「無常観」の雰囲気もこんな感じなんだろなと伝わります。
ただ、我が家の子どもたちは、全く興味を示してくれませんでした(涙)
「寿限無」や「生麦生米生卵」と比べると、言葉の遊び、リズムに面白みを感じられず、難しかったようです。
4.最後に
こちらの「声にだすことばえほん」シリーズ、声に出すことで子ども達は自然と覚えてしまうようです。知らず知らずのうちに教養が身についてしまうかも?と親としては期待してしまいます。絵本であるため、大人でも新鮮な気持ちで読むことが出来ますよ。
皆さんも気になる本がありましたら、是非手に取って「声に出して」読んでみてください。
我が家でも、引き続きこのシリーズを読んでみる予定です。
こちらの記事が、絵本を選ぶ際の参考になれば幸いです。
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